Sponsored link

二十五絃箏のための作曲:「古之森」三章

7/28に二十絃箏Potpourriコンサートが松本のハーモニーホールで
開かれました。 17年目になるそうです。
今回は私の作った曲も演奏されました。
hall3.jpg
プログラムは、
1.オルガン組曲集より(J.S.Bach)
 BWV 583
BWV 528/2
  二十絃箏;有賀喜栄、渡辺邦子
  十七絃箏;田中静子
  
 バッハの対位法的な旋律は、こうして三台の箏で演奏されると
 とても明瞭さが際立ちます。
 オルガンは持続音で強弱が段階的なので少し単純な音色に
 聞こえますが、箏はバッハが愛好したと言われるクラヴィコードの
 ように音の強弱と揺れを表現出来るので、キリスト教(天国?)の
 神々しさよりも人間の儚さを感じさせます。

2.しろとみ(川崎絵都夫)
  二十絃箏;柳澤朝江
  尺八;渡辺淳

  英語のWhite-outにあたる言葉だそうですが、札幌に住んでいたころに
  まさにそれに遭遇しました。
  国道を運転中でしたから、何も見えない中、止まっても追突されそうだし、
  仕方なくスピードを落としながら、吹雪が通り過ぎるのを待ちました。
  ほんの数十秒間でしたが、恐怖の時間でした。

  尺八は情景を表すのが本当に適した楽器で、豊かな音で見事な演奏でした。
  箏が小さな音から段々リズムに乗って重なってくるところがスリリングです。
  箏のフリーな独奏部分も合奏部分も形式的ではなくて、リズムが自由で
  自然な対話のようで、あんな風に作れたらいいな、と思うほどでした。

  この曲はYoutubeにはありませんが、同じ作曲家の
  「時の旅人」と言う3楽章の組曲がアップされていて、
  判りやすい映像的な曲想が気に入りました。参考になります。
  https://youtu.be/qR4eFpvxiJQ
  https://youtu.be/MRHCxc43JrI
  https://youtu.be/cTott31SRNE

3.「古(いにしえ)之森」三章(登本貴夫)
  二十五絃箏;渡辺邦子
  十七絃箏;有賀喜栄 
 @夜のしじま 
   平安時代に「しじま遊び」というものがあり、どれだけ黙っていられるかを
   競うのです。 沈黙することで聞こえてくるものとは?


 A森に還る
   万物は最終的に土に還ると言われていますが、永遠に続く生命に希望を
   託し、小さな芽から森に育っていくように祈りを込めました。

 B天つ風
    [天津風(あまつかぜ) 雲の通ひ路(かよひじ) 吹き閉ぢよ
    をとめの姿 しばしとどめむ] 百人一首の十二番歌。
    作者の僧正遍照(昭)(816〜890)が出家する前の「深草少将」と
    呼ばれた頃の歌で、小野小町との恋物語を残した人でもあります。
    
    現代語訳では「天を吹く風よ、天女たちが帰っていく雲の中の通り道を
    吹き閉ざしてくれ。乙女たちの美しい舞姿を、もうしばらく地上に
    留めておきたいのだ。」とされていますが、真意は「平和で雅な
    国風文化を守るために、遣唐使の道を閉じよ。」と、時代を詠んだ
    ものでもあるそうです。

   名演奏家の手にかかると、どんな曲も一流(?)に聞こえてくるのが
   凄いです。
   最初は独奏曲でしたが、要望で二重奏にしたことで確かに重厚な
   感じになりました。

   この曲を作ったときのことは前にブログ記事にしています。

4.細雪を想い...(マーティン・リーガン)
  二十五絃箏;田中静子
  三絃;有賀喜栄

  三木稔さんに師事していただけあって、見事に邦楽器を使って
  西洋作曲技法と融合させています。

最初の楽章が情緒があって良い感じでしたが、川崎作品と
  比べるとリズムが西洋的だなと分かります。
  第二楽章は十三絃のような和風音型が日本情緒を醸し出していて、
  この楽章から書き始めたのかなと思わせます。
  最後の楽章は三味線パートがしゃべり過ぎ(?)なくらい賑やかで、
  マーティーさんは豪雪を表現したかったのかと思いましたが、
  解説にあった「春のエネルギー」の爆発ですね。
  この曲の音源の一部を聴くことができます。
   
5.樹冠(長沢勝俊)
  尺八;渡辺淳
  二十絃箏;渡辺邦子、唐澤博子、田中静子、柳澤朝江
  十七絃箏;有賀喜栄

  もう言うことなしの名曲、手の内に入った名演奏です。
  フランス印象派を感じさせる尺八のイントロから、リズム的な
  面白さ満載の箏パート、西洋人には苦手な伸縮自在の部分も、
  さすが日本人ですね、バッチリ決まっています。
  Youtubeにも他の演奏家のものがあります。
  
* アンコールはいつもの「浜辺の歌」(成田為三)。
 今年も素敵な演奏が聴けたなと、しみじみ感じる時間です。

なかなか聞く機会が少ないけれども、素晴らしい邦楽の世界を
再発見させるための、先生方の御活躍を楽しみにしています。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック